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徒然に思いついたことを・・・
by f-liberal
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『憲法の本』 浦部法穂著 共栄書房

『憲法の本』 浦部法穂著 共栄書房発行 2005年5月25日
1800円+税

つい最近刊行された本である。著者は著名な憲法学者であるが、内容は学術研究の発表ではなく、一般人向けに憲法の重要な内容を概略説明し、憲法の重要性を学ぶ端緒にして欲しいとの思いが込められている。

 はしがきの一部を引用する。

憲法の「改正」というのは、いまの憲法を前提にして、つまり、いまの憲法のつくりや基本的な原理原則は動かさずに、部分的な変更を加えることである。しかし、いまの「改憲」論議は、現行憲法の基本的な原理原則も見直し全面的に作りかえよう、というものであるから、「憲法改正」の論議ではない。 (中略)


国会議員たちが、新憲法を制定しようと企てているということは、彼・彼女らが、日本国憲法のもとでの政治体制の根本的変革すなわち「革命」をたくらんでいる、というほかない。しかも、それを、通常の憲法改正手続で行おうとしているのであるから、新憲法制定に求められる手続すら無視して強行しようとしているのである。国会議員は、憲法99条によって、日本国憲法を尊重し擁護する義務を負っている。新憲法の制定ということは、いまの憲法を廃棄するということだから、国会議員が新憲法の制定を企てるのは、明らかに憲法99条違反の行為である。ということは、国会には新憲法制定の発議権はない、ということである。国会議員たちによるいまの「改憲」論議は、憲法上認められた権限外のことをやろうとするものであり、その意味でも、革命またはクーデターの企て以外のなにものでもない。



 内容は、前述の通り、一般向けに書かれているので、読むに難いということはないだろう。これから憲法を学習したいと思っている人、あるいは学生時代に憲法を学習した人にも十分耐えうる内容であると思う。

 憲法への理解を深める入り口(入門書)として、ぜひご覧頂きたい。
by f-liberal | 2005-06-22 20:55 | 法/憲法
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